個人的BOOKランキング2019(10位~6位)
僕は昔から読書好きで、中学の頃からは読んだ本の簡単なあらすじと感想をノートに書き記してきました。(2012年4月以降に読んだ本のほとんどが書き記してあります。現在ノートは3冊目であり、220冊分の本の感想などが記してあります)さて、今年ももう終わりが近づいてきたので、そのノートを見ながら今年読んできた本を振り返り、面白かった順に10位までランキングを作ろうと思います。
・注意事項
気をつけて欲しいのは、このランキングに出てくるのはあくまでも「僕が今年読んだ本」であり、「今年発売された本」についてランク付けをするわけではありません。そのため様々な時代の作品が混ざっています。ただし、対象となるのは今年初めて読んだ本であり、今年再読した本は含めません。
また、単純にどれだけ面白かったかを重点に置いてランキングを作っているので、「ためになった」「勉強になった」という感じの本(分かりやすく言えば学術書ですね)はランキングに入ってきにくい傾向にあります。「何十年も読み継がれている名作」も、必ずしもランキングに入ってくる訳ではありません。あくまでも個人的な好みによるランキングですからね。その点をご了承ください。(ランキングには入らなかったけどためになった作品は別枠で紹介するかもしれません)
さらに、個人的な趣向により、ランキング中に出てくる作者や本のジャンルがやたら偏っている場合がありますが、これも仕方ないことですので気にしないでください。
さて、まずは僕の読んでいる本の傾向を皆さんにつかんで貰うために、過去のランキング(2014年以降)を示しておきます。
2014年
1位「疾走」重松清
3位「青い鳥」重松清
4位「ソロモンの偽証」宮部みゆき
6位「死神の浮力」伊坂幸太郎
9位「流星ワゴン」重松清
10位「わしらは怪しい探検隊」椎名誠
2015年
2位「マリアビートル」伊坂幸太郎
8位「69 sixty nine」村上龍
10位「卒業」重松清
2016年
1位「十字架」重松清
2位「殺人犯はそこにいる」清水潔
4位「わが愛する山々」深田久弥
5位「レベル7」宮部みゆき
6位「仙台ぐらし」伊坂幸太郎
9位「安部公房全作品②(壁、闖入者、水中都市など)」安部公房
2017年~2018年
(読んだ本の冊数が少なかったので、2年分をひとつにまとめました。横の年号は読んだ年)
2位「地震と噴火の日本史」伊藤和明(2017年)
3位「超火山『槍・穂高』」原山智・山本明(2018年)
4位「山の自然学」小泉武栄(2017年)
5位「ゼツメツ少年」重松清(2017年)
7位「火星に住むつもりかい?」伊坂幸太郎(2018年)
8位「悲嘆の門」宮部みゆき(2018年)
9位「正義と微笑」太宰治(2018年)
10位「スマホを落としただけなのに」志駕晃(2018年)
改めて眺めてみると、なんか重い話多くない?タイトル書き並べているだけで鬱になってくるような・・・。ミステリー&純文学好きの宿命で仕方ないんですけどね。今一からランキングを作り直してみたら順位が変わる本も多そう。
さて、長い前置きが終わって、ようやく今年のランキングの発表です!
個人的BOOKランキング2019
10位「キャプテンサンダーボルト」
・読んだ期間 2019年1月14日~1月20日
~あらすじ~
トラブルが重なり多額の金が必要となった相葉時之は、詐欺師をだまし返して金を得ようと企むが、手違いで「ゴシキヌマ水」を追い求める凶悪な組織と関わることとなり、彼らから逃げなくてはならない羽目になってしまった。相葉は幼なじみの井ノ原と逃走を図るが、「銀髪の怪人」の恐ろしさは次元を超えており・・・。
スピード感溢れる小説。伊坂幸太郎と阿部和重の共作であり、伊坂さんの小説は2012年から読みまくっているので(過去のランキングを見ても分かると思う)、ここ伊坂さんぽいなと思うところは分かるのだけど、阿部さんの小説は読んだことがないので「らしさ」がイマイチよく分からなかった。普段の伊坂さんの小説よりもスケールが大きくなっているのかな?
9位「火の島・火山群」
・新田次郎・著 1955年~1969年
・読んだ期間 2019年3月16日~3月25日
信州大学中央図書館にあった「新田次郎全集 第10巻」より。ここに収録されている「火の島」「孤島」「火山群」という3つの小説により9位にランクイン。特に「火の島」という長編が素晴らしい。鳥島気象観測所の房野は、島のある異変に気付く。そしてその後、島は激しい群発地震に襲われる。これは島にある火山の噴火の前兆なのか、それとも・・・。島から退避するかどうかで人々の心も大きく揺れる・・・というあらすじ。新田次郎さんは災害が起きたときの緊迫した状況の描写が上手すぎる。さっさと逃げれば良いじゃんと思うかもしれないけれど、そうはいかない複雑な事情がありまして・・・。まあ読めば分かる。ラストも非常に考えさせられるものになっている。
「孤島」は同じく鳥島気象観測所の様子が書かれているが、これは閉鎖的な環境でストレスがたまりまくっている男たちの様子が描かれている。「火山群」は戦時中、太平洋戦争の戦地、ラバウルで空襲などと闘いながら火山の観測をした男の話。他にも4つの話が収録されているけれど、先に挙げた3つの話と比較するとやや退屈だったかな。この本で、命がけで自然現象を研究する男たちの世界を体感してみては?
余談だが、この本は僕の読書ノートに記されている本としては記念すべき200冊目に当たる。ちなみに100冊目は同じく新田次郎氏の「剱岳〈点の記〉」。これはね・・・、狙いました笑。
8位「御嶽山噴火 生還者の証言」
・小川さゆり・著 2016年
・読んだ期間 2019年1月20日~1月25日
またもや火山をテーマにした本である。しかしこちらはノンフィクション(先に挙げた「火の島」も1965年に実際にあったことを元にして書かれてはいるが)。この本が出る前に、同じくヤマケイ新書から出された「ドキュメント 御嶽山大噴火」(2014年)は、その時にあった出来事や科学的な分析などが中心的な内容であり、個人の体験談も書かれていたが量的にはそれほど多くなく、やや無機質な印象だった(だからといって悪い本というわけではない。信州大学の教授も一部の文章を書いているので、気になった方は是非手に取ってみて欲しい)。それとは対照的に、この本は小川さゆりさんという山岳ガイドの方の個人の体験談が多くを占めており、生身の文章であった。
本当に噴火の時の状況は恐ろしい世界である。運が左右するというのもうなずける。文中にも似たようなことが書いてあったが、まるで戦場のようだと思った。
取材をしてきたメディアに対する苦情も書かれている。それにしてもメディアって本当に切り取った報道しかしないんだなあ・・・。気付かぬうちに印象操作をさせられてると思うと嫌悪感を覚えますよ。
もう御嶽山の噴火から5年。人々の記憶も風化し始めている頃だ。だからこそ、この本と「ドキュメント 御嶽山大噴火」をセットで読んでみて欲しい。
7位「獄門島」
・横溝正史・著 1947年
・読んだ期間 2019年9月9日~9月23日
~あらすじ~
瀬戸内海に浮かぶ獄門島を訪れた金田一耕助。それは、戦地で一緒になった男から「自分が死ぬと3人の妹が殺される・・・」という遺言を受け取ったからだった。その言葉通り、島の名家、本鬼頭の娘たちが次々に殺されてしまう・・・。
昭和を代表する推理作家、横溝正史の代表作のひとつ。ストーリー展開は同著者の「八つ墓村」「犬神家の一族」と比べるとやや地味だったけれど、事件に使われたトリックは目を見張るモノがあった。個人的にミステリー作品でネタバレをするのは重罪だと思っているので、この場で詳しく感想を書けないのがもどかしい・・・。それにしても、横溝正史の小説はどれも70年くらい前の小説とは思えないほど読みやすいなあ。
6位「チンネの裁き・錆びたピッケル」
・新田次郎・著 1958年~1972年
・読んだ期間 2019年6月25日~6月30日
「新田次郎全集 第3巻」より。山を舞台にしたミステリー小説集である。表題作の長編「チンネの裁き」は面白いんだけど、ミステリーとしては消化不良のところが残るなんとも言えない作品。「錆びたピッケル」もまあ普通。ランキング6位になった大きな要因は、同じくこの本に収録されている「消えたシュプール」という作品。自分を殺そうとしている男から逃げるというハラハラする展開で面白かった。この小説はそれほど長くないので、これだけでも読んでみて欲しい。他に面白かったのは「蛾の山」「谷川岳幽の沢」「雪のチングルマ」。「蛾の山」は友人が山で死んだが、その時一緒に登った女が彼を殺したんじゃないかと思い調査してみたらとんでもない女だったという話。「谷川岳幽の沢」は、幽の沢で見つかった死体は、行方不明になっている3人のうち誰か・・・という話。3人の人生が交錯していて面白い。「雪のチングルマ」は雪崩がテーマなんだけど、とても悲しい内容・・・。
他にも3つの作品を収録。余談なんだけど、新田次郎の山岳小説の主人公は、20代後半でも童貞である確率が異様に高い気がする。(そしてヤりまくってる男は大抵悪役)時代のせいなんですかね・・・。人のこと言えないんだけど。
10位から6位は以上です!トップ5は回を改めて書きます。お楽しみに!
後編(5位~1位)はこちら