風城峠の回顧録

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ゲームレビュー㊷ ひぐらしのなく頃に 絆(前編)

ひぐらしく頃に 絆

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・発売日:

第一巻・祟、2008年6月26日

第二巻・想、2008年11月27日

第三巻・螺、2009年5月28日

第四巻・絆、2010年2月25日

・発売元:アルケミスト

CERO

1~3巻、D(17歳以上対象)

4巻、C(15歳以上対象)

・自分のプレイ時期:

1巻、2019年8月下旬~9月下旬

2巻、2019年9月下旬~10月中旬

3巻、2019年10月中旬~11月上旬

4巻、2019年11月上旬~11月下旬

・難易度評価:なし

(ただし1巻は攻略サイトがないと難あり)

 

 

 

前置き

 

 衝撃だった。20年の人生の中で触れた幾多の物語の中でもトップクラスの衝撃。それを与えてくれたのが「ひぐらしのなく頃に」だった。

 

 僕は今回プレイするまで、「ひぐらしのなく頃に」という物語の内容をほぼ何も知らなかった(アニメ結構観てそうな外見してるかもだけど実はあんまり観てないのだよ)。Twitterで時々「ヤバいアニメ」とかいって回ってくるのを見るだけで、とにかくグロく、暗く、ヤバいアニメなんだろうなぁというイメージしかなかった。僕は元々ミステリーが好きで人が結構死ぬような話には慣れている(?)けれど、この作品のように少女が次々と死ぬような話はわりと忌避してきたタイプであった。

 

 しかし、2019年、そんな僕に少し変化が起きた。小4の時に3期を少し、高1の時に1期~2期の前半まで観たアニメ「地獄少女」を久々に観たら、どっぷりとハマってしまった。またこの前年の2018年9月に「八つ墓村」を読んだのを皮切りとして、横溝正史の小説を読み始めた。つまり、この頃の僕は「和風ミステリーホラーっていいなぁ…」となっていたのである。

 ちなみにAmazonで「地獄少女」と検索すると、同シリーズのアニメ以外で一番上に出てくるのが「ひぐらしのなく頃に」である(何しろ放送時期も制作会社もジャンルも同じような感じなので。ちなみにその逆パターンも成り立つ)。だから、ひぐらしはわりと自分の目に入らざるを得ないような位置にある作品であり、その頃から「触れてみるのもありかなぁ…」と思い始めた。

 

 でもTwitterで散々ヤバいと言われており、ミステリー好きだけど元々怖がりなタイプなので、なかなか手を出す勇気は出なかった。

 そんな時、地元のHARD OFFを訪ねてみたら(この店は田舎のくせにマニアックなゲームがよく売られている)、この作品が売っているのを見かけた。アニメはいきなり見る勇気が無いけれど、ゲームなら…というかこの作品は元々ゲームだしな、ということで購入。1つ540円で安かったし。DSのソフトの容量がショボいせいで4分割して売られているが、1、2、4巻は全てこの店で1つ540円で購入し、3巻はAmazonで新品を1800円ほどで買えたので(定価の半額ほど)、全部揃えるのにあまりお金はかからなかった。

 

 というわけで夏も終わりが近づいた2019年8月下旬、まずは1巻からプレイ開始である。まだ残暑厳しい時期なのでホラーは丁度良いだろう、なんてね。

 

 恐る恐るスイッチをオン、そしてタイトル画面をタッチすると「あっはっは」という不気味な笑い声が…。オイオイ、大丈夫なのかこれ…。いきなりビビってますよ。先行き不安だなぁ…。

 

 ストーリーを読み始めると(そういや言ってなかったがこれはノベルゲーである。ちなみにノベルゲーは今回が初体験)いきなり人を殴り殺しているような不穏な文章と音が…。なるほどなるほど…。

 かと思ったら、時間が戻っていきなり平和なパートに。この平和なパートが実に1時間半くらい続く。先にも述べたように、僕は深夜アニメをほとんど観てこなかったので、こういうギャルゲー的な特有の雰囲気は最初はなかなか馴染めなかった(徐々に慣れていったが)。いつになったら事件が起こるんだよと思っていたが、段々と不穏になり始め、そして鬼隠し編へと入っていく…。

 

システム

 

 さて、ここで「第一巻・祟」の話を中心にゲームのシステムの説明をしよう。

 

 このゲームは、DS本体を横に持つという特殊な持ち方をするゲームである。通常時に上画面となる場所にキャラの立ち絵が表示され、下画面に文章が表示される。立ち絵と文章が完全に分かれているので、DS版は他ハードのバージョンよりも小説感が強い。読書好きの僕としてはこのスタイルは結構気に入っている。利き手を設定でき、右利き用は右に下画面が来るように、左利き用は左に下画面が来るように、DSを横に持つ。ちなみに僕は左利き。

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 第1巻はまず事件前の平和なパートがあり、そこで時々出てくる選択肢の選び方によって、平和パート終了後の話が決まる。ただし、このルート分岐システムが第一巻の最大の欠点なのだ。選択肢の数はかなりあるが、特定の選び方をしないと綿流し編祟殺し編染伝し編には進めない。基本的に何も考えず適当に選んでいくと鬼隠し編に進むようになっている。最初に読むのは鬼隠し編が一番いいので1周目はそれで良いのだが、それ以降の話を出すのが非常に困難になっている。つまり、綿流し編以降の話に進むための特定のルートを見つけない限り、延々と鬼隠し編がループする世界になる。それはそれでなかなか恐ろしい。しかも、普通に選択肢が出される場所の他に「感情選択システム」という特殊な分岐点があり、これが分岐をとても複雑にしている。これのせいで綿流し編以降に進むためのルートを見つけるには非常に難易度が高い。だから、快適にプレイしたいのならば、自力でルートを見付けようとせずに攻略サイトに頼ることをオススメする。あまりにルート分岐が複雑なため、かつては公式サイトが各編への進み方を公開していたらしいが、10数年も前のゲームのため現在公式サイトは存在していない(開発した会社が倒産したせい?)。そのため、普通に攻略サイトを参照しよう。僕が利用した攻略サイトを下に貼り付けておく。Yahoo!知恵袋にも綿流し編への進み方が書いてあったが、それは間違っているので注意。

・ https://higurashi1.gorillawiki.jp/

 ・https://plaza.rakuten.co.jp/wizardofmouth/004002/

 なお、原作にはこのようなルート分岐は存在しないらしいのだ。だから攻略サイトを見ても何も後ろめたいことはない。この1巻のルート分岐システムがあまりにも酷かったせいか、2巻以降はこのような複雑なルート分岐は存在しない(基本的に最初から各編が別々になっている)。

 

 DSの容量がショボいのでボイス付きの部分は全体の半分以下となっている。なお、1巻ではDS版からの新規シナリオである染伝し編は主要人物のみフルボイスとなっているが、その分既存シナリオである平和パートと鬼隠し編綿流し編祟殺し編ではボイスはやや少なめ。基本的に重要なシーンしかボイスは付いていない(重要なシーンにすら付いていない場合もある)。この傾向は2、3巻も同じ(4巻のみ少し違う)。またストーリーを読み進めていると本編に関係するミニトピックである「TIPS」がちょくちょく挿し込まれるが、これはボイスがゼロである。

 ただし、個人的にはボイスの少なさについては一概に悪い点とは言えないように思う。以前Twitterで「ノベルゲーにフルボイスは向いてない」みたいなツイートも見たし。そう考えるとDS版のボイスの量は案外丁度良い具合になっているのではないか。ボイスが付いていると全部聞きたくなっちゃうし、そうなると全部の話が終わるまでに莫大な時間を費やすことになる。DS版ですら全部の話が終わるまでに120時間かかったのだ。DS版よりもシナリオの数が7つ増えており、TIPSまで完全フルボイスの現時点での最新作「ひぐらしのなく頃に 奉」(Switch、PS4などでプレイ可)を全て終えるには一体何時間かかるのだろうか…。一説には300時間くらいかかるとか…。はぅ…。

 

1、2巻の各シナリオの感想

全体の感想

 1、2巻はとにかく怖かった。本当に進めるのが億劫になるくらいに。不穏なシーンに入るとキャラの立ち絵の目が変わるし…。これ結構怖いよ。そして一番怖いのは、赤くおどろおどろしい書体の文字が画面全体にバーッと表示される時。回数は少ないものの、これはマジで心臓に悪い。

 でも、予備知識が全くなかったおかげで、純粋に恐怖感を味わうことが出来た。ホラーというものは先に何が起こるか分からないから怖いのであって、その先の展開を全て知っていたら恐怖感が一気に減る。その点、ひぐらしのことについて何も知らなくて本当に良かったと思う。

 

 なお、文章での描写はなかなかグロいけれど、イラストに関してはかなり抑えた表現になっている。そのため、視覚的なダメージは少ないと思う(さっき述べた赤字を除く)。その点は安心だ。

 

 このゲームはシステム面でも怖さでも1巻が最大の難関である。1巻は最初の平和パートを除く全てのシナリオで展開が容赦ない。2巻は目明し編と影紡し編は十分に怖いものの、暇潰し編は怖さはそれほどでもないし、昼壊し編は完全にネタ回である。3巻以降はまた雰囲気が変わってくるしね。というわけで1巻と2巻の目明し編さえ乗り切ればあとは何とかなるので頑張ろう。

 

さて、ここからは各シナリオのちょっとした感想を記していく。3、4巻のシナリオに関しては後編で。

 

 

 

※注 ここから先の内容は思い切りネタバレを含んでいるので、「ひぐらしのなく頃に」の内容を知らない人は見ないことをオススメします!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ネタバレを食らっても良いよという人だけ残ったかな?では始めるよ。

 

第一巻・祟 収録シナリオ

鬼隠し編

 全てのハジマリ。最初のうちは圭一が狙われててやばいな・・・って思っていたけれど、途中からいくらなんでも女の子に対してそんな事をするなんて流石にクズ過ぎないか?と思うようになり、圭一を応援できなくなった(この僕の感想は当たっていることが後に判明するのだけれど)。最終的には最悪の結末になるんですけどね・・・。最初の章ということもあって途中から恐怖で精神的疲労が凄いことになり、この先大丈夫なのだろうか・・・と不安になった。

 

綿流し編

 これもとにかく怖かった・・・。終盤ビシバシと推理していくレナが格好良い。鬼隠し編ではああいうことになっていたので、レナが最後まで味方でいてくれた事が唯一の救いだった。まあ後の話を見れば鬼隠し編で敵味方云々の認識をするのがそもそも間違っていることが分かるんですけどね。本当の最後まで安心を与えてくれず、何重にも襲い来る恐怖。ラストはえ、まだやるのかよ・・・って感じだった。

 

祟殺し編

 ただのクズである北条鉄平が登場。本当にコイツはクズ中のクズである。ただ、沙都子云々の話が全て吹っ飛ぶくらいラストが衝撃だった。火山ガス災害で村人2000人全員死亡!?ハハハ、これはもう何でもありだな!!こんな展開予想できるかよ!ちなみに、突如湧いた火山ガスで村が全滅という話は広い世界の中には実際にある話のようである。まあ、言っちゃうと雛見沢のあれは結局火山災害では無いんですけどね。

 

 染伝し編

  ゲームではDS版からの新規シナリオ。というわけで主要人物はフルボイスとなっている。

 それまでの3編とは舞台も登場人物も全然違う。雛見沢の隣町、興宮から都会に引っ越してきた、雛見沢御三家の1つ、公由家にルーツをもつ公由夏美が主人公。彼女とその周囲の人々、そして女刑事、南井巴を描いた話となっている。圭一やレナなどお馴染み部活メンバーは登場しない(レナに関しては3巻以降でこちらの世界の話とも関わりを持つようになってくるが、それはまた後の話)。

 公由夏美の声がかわいい(CVは水橋かおりさんという方です)。まあそんな悠長なことはいつまでも言ってられないのがひぐらしである。雛見沢大災害後、夏美が住む町では雛見沢にゆかりのある人物が起こした殺人事件が次々と発生。そして夏美の家でも・・・。この話もめちゃくちゃ怖かったです。公由夏美や南井巴を主軸に置いたストーリーはその後2巻の影紡し編、3巻の解々し編、4巻の澪尽し編第2部へと続いていく。

 

 1巻の合計プレイ時間は約28時間。

 

 

第二巻・想 収録シナリオ

 

暇潰し編

「赤坂・・・・、東京に帰れ」

 

 雛見沢で連続殺人事件が起こる前の話。サスペンス要素の強い話となっており、恐怖感については今までの話よりも薄まっていて一安心。今までのパターンからすると梨花が突然豹変して人を殺すようになるんじゃないかとヒヤヒヤしたが、そんなことはなくて良かった。

 

目明し編

 綿流し編の真相が書かれている。いやー、双子であることを利用して入れ替わっていたとはね。びっくりですわ。ミステリファンはこういう叙述トリック的なの大好き。ただし、この話は全てのシナリオの中でもトップクラスにエグいので注意されたし。

 後にアニメを観たとき、詩音が「その時私の中に鬼が生まれた」といきなり豹変し始めて「は?」となった。ここはもう少し丁寧に描くべきだったのでは?アニメだと枠が足りないのは分かるけど。

 

昼壊し編

 圧倒的ネタ回。事件は全く起きず、レナが古手神社に伝わるフワラズの勾玉を飲み込んでしまい大パニック!という話である。勾玉は2つで1セットとなっており、片方を持っていると、もう片方を持っている人のことを問答無用で好きになってしまうのだ。

 とにかくギャグの連発。ネタ回なのでもうなんでもありだけど、昭和58年の世界観を完全に無視している。その時代には存在しなかったであろうゲーム等の話が出てくるし、あと小学生が税金について語るなよ笑(消費税が10%に引き上げられる前日くらいにこれを読んでたので余計面白かった)。こんな平和な話がずっと続けば良いのだけれど、どうもそうはいかないようで・・・。つかの間の箸休め。

 

 DS版からの新規シナリオなので主要キャラはフルボイス。なお、OVAであるアニメ第3期「ひぐらしのなく頃に 礼」でアニメ化されており、そこには羽入が登場するのだが、DS版では2巻の段階だとまだ羽入の存在は隠されているので登場しない。

 

影紡し編

 先にも述べたとおり、公由夏美や南井巴を主軸に置いた話の2つ目。DS版からの新規シナリオなのでこちらも主要キャラはフルボイスとなっている。

 この話の途中である主要キャラが死ぬ。そんなのありかよ!と思ったが、まあ何でもありか。染伝し編同様夏美が終盤とんでもないことになるのだが、ラストは結構感動した。今思えば罪滅し編に近いテイストの話だったなと。(罪滅し編は3巻で出てくるので、この時点ではまだ知らない)

 

 2巻の合計プレイ時間は約21時間(全4巻の中で最も早く終わる)。

 

(おまけ)

2巻では、プロローグや暇潰し編でチラッと登場する赤坂衛の娘、赤坂美雪の声を担当しているのは誰か当てよう!みたいなキャンペーンがあり、解答してプレゼントに応募するためのハガキが一緒に入っている(中古で買ったけどちゃんと入っていた)。そのため、2巻では赤坂美雪の声が誰か伏せられている状態になっている。分かりそうで分からなかったのでググったら、あ~、声優に疎い自分でも知ってる人だった(ちなみにこの1年間、10年前後前のアニメは結構観たので、現在中堅以上の声優に関してはそこそこ覚えました。ただし、現在20代の若手声優については未だにほとんど分かりません)。というかその前にやってた「真・女神転生Ⅳ」でもある主要キャラの声で出てきてたので知らないはずが無いんだよなあ・・・。というかキャラの名前的にこれは狙った!?果たして誰でしょう?分かった人はハガキに書いて応募してね!キャンペーン期間は平成20年11月27日~平成21年1月31日までなのでお早めに!

 

 

 今回は以上!書きたいことが多かったので長くなるだろうなとは思っていたが、予想以上に長くなった・・・・。

 次回は「ひぐらしのなく頃に 絆(後編)」なのですよ。見るのです~! 

 

 

 

リンク

任天堂のサイトより

第一巻・祟

https://www.nintendo.co.jp/ds/software/chgj/

第二巻・想

https://www.nintendo.co.jp/ds/software/ch7j/

・ゲームカタログ@Wiki~名作からクソゲーまで~

 https://w.atwiki.jp/gcmatome/pages/6571.html

 

 

(後編)

 

shikakuyama.hatenablog.com