ゲームレビュー64 悪魔城ドラキュラ アニバーサリーコレクション(第4回)~バンパイアキラー、悪魔城すぺしゃる ぼくドラキュラくん~
第1回~第3回はこちら
ついに「悪魔城ドラキュラ アニバーサリーコレクション」の回も最終回。独特の雰囲気のある2作品を紹介する。
目次
バンパイアキラー
・発売日:1994年3月18日
・発売元:KONAMI
・自分のプレイ時期:2020年10月中旬
・難易度評価:3
(1、簡単 2、普通 3、やや難しい 4、難しい 5、非常に難しい)
1994年にメガドライブで発売されたゲーム。メガドライブ末期のゲームで出荷枚数が少なく、それまで結構なプレミアがついていたらしいが、アニバーサリーコレクションのおかげでお手軽にプレイ出来るようになった。
難易度も比較的お手軽であり、アニコレ収録作品の中では最も簡単。コンティニュー制限があるため一見難しそうだが、実はゲームオーバーになったあとに表示されるパスワードを打ち込むと、ゲームオーバーになったステージから再開できる。つまり、少し手間が増えた無限コンティニューと言って良いだろう。
プレイするキャラは2人から選ぶことが出来る。シリーズお馴染みムチを使うジョニーと、槍を使いかつハイジャンプが出来るエリックだ。僕はまずは王道から、ということで、ジョニーの方で1周プレイした。どうやらエリックの方が攻略しやすいようである。ただ、ジョニーで進めた場合でも、過去作と比べると難易度が低い。
1面からその進化した演出に圧倒させられる。
2面はたまっていく水から逃げたり、逆に下がっていく水を追いかけたりしながら進んでいくのだが、この水の青色がとても綺麗な色なのだ。中ボス3連戦もあるなど、緩急のついたステージ構成になっている。
3面ではジョニーのムチを駆使しながら進む場面がある。通常のジャンプでは飛び越えることが出来ない穴があり、最初はここはどうやって越えるのだろうと悩んだが、なんと、ジョニーのムチは天井にくっつくことが出来るのだ。これを使えば間隔の広い穴も飛び越えることが出来る。なお、ハイジャンプが使えるエリックでは、この部分は別ルートで進むことになる。
3面終盤では天空に伸びる階段を上っていく。この部分もなかなか凄い光景だ。
4面はシリーズお馴染み歯車地帯。これも過去作以上に細かく描きこまれており、そのメカっぽさに心をくすぐられる。難易度も特別高い訳ではないので、その演出を楽しみながら進むことが出来る。
ここまで道中は比較的サクサク進めるけれど、5面の序盤は敵の対処がやや面倒。それでも長い時間足止めを食らうようなものではない。
最終面の6面は、過去のステージのボスと戦った後に死神と戦うが、ステージクリア型だとこれが明らかに過去最弱。その後のメデューサは倒し方が分かるまでやや苦戦。
そしてついにラスボスのドラキュラだが、何と第三形態まであり、その第三形態がかなり面倒なので、長期戦を強いられた。50分ほどかけてようやくクリア!何だかんだ、最終面は1時間半ほど費やした。それでも、アクションゲームがそこまで得意でもない僕でも1周約3時間半ほどでクリア出来たので、コツさえ掴めばサクッと楽しめるゲームだと思う。エリックではまだ未プレイなので、時間があったらやってみようと思う。
〈リンク〉
・メーカー公式サイト
https://www.konami.com/games/50th/ac/castlevania/jp/ja/
https://w.atwiki.jp/gcmatome/pages/3731.html
悪魔城すぺしゃる ぼくドラキュラくん
・発売日:1990年10月14日
・発売元:KONAMI
・自分のプレイ時期:2020年10月中旬
・難易度評価:4
これまでにないポップな世界観のスピンアウト作品。しかし、難易度は従来のものに負けずとも劣らない高いものだった…。
基本攻撃はムチではなく、飛び道具の火の玉。移動速度もそれなりに速く、ジャンプ力もそれなりにあるので、悪魔城シリーズというよりはロックマンみたいな操作感。ただし、ロックマンほどやりやすいわけでもない。
そしてこのゲームの大きな特徴と言えばミニゲームだろう。ステージ終わりにコインを持っていた場合、ミニゲームに挑戦することが出来る。成功すると残機を増やすことが出来るが、このミニゲームはほぼ運ゲー。失敗することの方が多い。
さて、簡単に各ステージについて書いていこう。
1面はもちろん簡単。ただ、2面になると高速ジェットコースターや空中の連続ジャンプ地帯が登場し、緊張感のあるステージとなる。3面は水中ステージでジャンプ力が大幅に上がるため、独特の操作感に慣れる必要がある。この時、ロックマンのようにジャンプ中の調整はできないので注意が必要。
序盤の難易度は過去の悪魔城ドラキュラシリーズと比べれば大したことはない。3面まで1時間でクリアした。
4面は、トゲに覆われた狭い通路をコウモリに変身して通り抜けるという地帯があり、ここではかなり緻密な操作を求められ面倒。30分ほどで無事クリア。
そして5面。高速で移動する地下鉄地帯が慣れるまで辛かったが、20分ほどでクリア。ホーミングをうまく使って敵を対処するのがコツだ(この記事を書くにあたってやり直してみたらその事に気がついた。プレイするの久々なのに地下鉄地帯1回でクリアできちゃったよ)。
ボス戦はなんとクイズ!
6面は多彩なギミックが楽しいステージ。逆さになって天井を歩かなければならない部分がある。35分ほどかけてクリア。
しかし、これまでのステージは地獄の前の序章に過ぎなかった…。
ついに問題の7面に差し掛かる。高速で上昇するエレベーターで狭い足場を乗り継ぎながら進んでいくのだが、足場から落ちると死ぬのは勿論、途中の敵に当たると落下して即死だし、終盤のミサイル回避はマジで運ゲー!このステージに費やした機数は何と80機以上!何とか上にたどり着いても、ボスはなかなかの強さ(攻撃は単純だが…)。ステージ開始から45分後、ボスとの3戦目で無事クリア!
次の8面は理不尽さはないものの長い。そのため、結局40分ほどかけてクリアした。
そして最後にして最大の難関である9面…。ここが本当に地獄だった!
最初の中ボスは弱点さえ分かれば大したことないが、トゲに刺さらないように、大量に走ってくる敵を処理するところが難しすぎる…。その後の中ボスもコツを掴むまでかなり時間がかかった…。さらに死ぬとどこまで進んでいてもステージの最初に戻されるという鬼畜仕様で、まともにやっていると一体いつクリアできるのか分からなくなったので、9面開始から70分後、ついにステージ途中でのセーブを解禁した…。このゲームでは今までずっと我慢してきたけれど、仕方ない…。まずトゲ&走る敵地帯の手前でセーブし、次に2体目の中ボスの前でセーブした。
ラスボスも最初は弱点どこだよ!って感じ。分かれば大したこと無いけれど…。
このように、救済措置を使っても9面クリアに2時間かかりました。使わなかったら倍以上かかってたんだろうな…。
〈リンク〉
・メーカー公式サイト
https://www.konami.com/games/50th/ac/castlevania/jp/ja/
https://w.atwiki.jp/gcmatome/pages/3378.html
というわけで、これにてアニコレ収録作品を全て紹介し終わりました!全4回、4回ともボリュームたっぷりの記事で書く方は大変でした。過去のメモを参考にして書いてるとはいえね。
次回は全然タイプの違うゲームのレビューを書きますが、次々回はまたドラキュラシリーズのゲームのレビューを書く予定です。お楽しみに。
東日本大震災から10年 長野県北部地震の衝撃
2年以上前、「地学との出会い(第2回)」という記事で東日本大震災について書いたが、今読むとかなり冗長な内容だったので、震災から10年のこの期に、適宜情報を追加しながら改めて書き直してみることにする。
当時自分は小5であり、新潟県上越市に住んでいた。東日本大震災では大きな被害が無かった街だ。しかし、11日午後2時46分に起きた本震より、翌12日未明に起きた長野県北部地震の方が大きく揺れた。これにより、東北、関東の人々とはまた別の、この震災の不気味さを感じることとなった。
東日本大震災の異常さの1つが、長野県北部地震のような、震源から遠く離れたところでも誘発地震が起きたことである。人口の少ない山間部で起きた地震なので、この地震に関してはもう忘れてしまった人も多いかもしれない。しかし、津波だけでなく、誘発地震が起きたという点でも、この大地震の恐ろしさを忘れないでいてほしい。そう思って、再び文章を書くことにした。
目次
3月11~12日、その時、自分は
2011年3月11日午後2時46分、小学校にいた僕は、掃除を終えて自分のクラスの前の廊下にいた。そうしたら、廊下で掃除の反省会をしていた人々が突然座り出した。何だ?と思った1秒後に気づいた。地震だった。
本震は、上越市では今までに経験がない程大きな揺れというわけではなかった。過去に体験した中越地震や中越沖地震の揺れの方が大きかった。震度的には、1年に1度はある程度の揺れである。しかし、この地震は周期の長い横揺れであり、そして、まるでいつまでも続いているように思うほど長かった。このような点から見れば、今までにはなかった揺れだった。
揺れが収まった後に放送が入り、震源などの情報が告げられた。この本震で、上越市内で観測された震度は4であった。
その後いつも通りに帰りの会が行われ、不安を抱きながら家に帰った。3月中旬とはいえ、雪がちらつく寒い日だった。帰宅してテレビを付けると津波に襲われる港の映像が目に入った。深刻なニュースばかり見てると気が滅入るので、チャンネルをアニマックスに変えたが、全く気を紛らわすことが出来なかった。
ただ、震源が遠いこともあり、帰宅後に揺れを感じることはほとんど無かった、というかその日のうちは記憶にない。震源は東北だから、こっちはもう大丈夫だろうと思い、いつも通り夜10時頃に眠りについた。しかし、この何時間か後、それが間違っていたことを思い知らされることになる…。
まだ部屋が真っ暗な頃、体が上下に揺れているのに気付いて目が覚めた。それと同時に地震だと悟った。仰向けの状態で揺れを感じながら、恐怖よりも先に頭の中に次々に疑問符が浮かんできた。また東北沖で大きな地震が起きたのだろうか?だが、不可解なことに昼の地震よりも揺れがやや大きいのである。
この頃はまだ小学生で知識がなかったこともあり、誘発地震という言葉なんて頭に全く浮かんでこなかった。だから、また東北沖でとんでもない地震が起きたのだろうか?としか最初は思えなかった。
後から考えれば、東北沖の地震はゆ~らゆ~らとした横揺れだったが、この夜の地震は明らかな縦揺れだった。この震源の違いによる揺れ方の違いはその後の余震でも明瞭だったのだが、この時はそんなことは知るよしもなかった。
揺れが収まってから、きっと震源は東北沖だから、またしばらくは来ないだろう、と思って、再び眠りにつこうとした。しかし、それほど間を空けることなく震度2程度の地震がまた来たため、これは流石におかしい、と思い、一階のリビングへと下りることにした。
階段を下りた僕の目に飛び込んで来たのは、「長野県北部で震度6強」という文字が表示されたテレビの画面だった。そう、これがいわゆる「長野県北部地震」、または「新潟・長野県境地震」「栄村大震災」などと呼ばれる地震である。
この地震は2011年3月12日午前3時59分に発生し、M6.7、長野県栄村で震度6強、新潟県十日町市、津南町で震度6弱を観測した。上越市内でも最大震度5強を観測。実際に市内で震度5強の揺れとなったのは山沿いのごく一部の地域だが、平野部を含む比較的広い範囲で震度5弱を観測し、自分の住んでいた場所でも、体感的に5弱ほどにはなっていたと思われる。夜勤明けでこの時間でも起きていた母の証言からも、これはほぼ間違いないだろう。
栄村は、上越市からすると市内南部にそびえる関田山脈の向こう側にある。自宅がある場所からだと近くはないが、決して遠くもない。まさか、こんなところでも地震が起きてしまうだなんて思いもしなかった。今回の地震は遠い遠い東北の話だと思っていたのだが、そんな話では済まされなくなってしまった。同じ新潟県内でも震度6弱になった地域があるのである。津南町に関しては、前年(2010年)10月に家族旅行で行ったばかりだった。
そしてこれが起きたことにより、新潟県周辺では、中越地震、中越沖地震、長野県北部地震と、M6後半クラスの地震がわずか約6年半の間に3回も起きてしまったことになる。そのたびに周辺地域は強い揺れに襲われてきた。新潟県上越・中越地方の人は、「またかよ…」と思った人もきっと多いことだろう。
予想外の地震の発生に、僕は底知れぬ恐怖を覚えた。テレビには次々に地震速報が流れるが、地震のたびにその震源が変わる。それは宮城県沖だったり、茨城県沖だったり、長野県北部だったりした。この有り様を見て、僕の頭には以前観た「日本沈没」の映画のシーンが浮かび上がってきた。もしかすると日本はバラバラになってしまうのではないか…。そう考えてしまうくらい、この時は異常事態だった。
長野県北部地震の震源域は比較的近いので、上越市にも次々と余震が来るようになった。上越市では大きくて震度4、大半が震度1~3程度であったが、栄村では地震発生からわずか2時間の間に、震度6弱を観測する余震が2回も起こっていた(午前4時31分、M5.9 午前5時42分、M5.3)。上越市では余震の揺れの大きさはそこまででもなかったとはいえ、次々に来るので流石にもう一度寝る気分にはならなかった。テレビから鳴る緊急地震速報の音と、何度も来る余震の恐怖に包まれながら、夜明けまでを過ごした。
長野県北部地震の被害と教訓
上越市ではほとんど被害がなかったので、翌日には元の日常が戻ってしまったが、揺れが強かった地域ではその爪痕が残り続けた。その一部を僕も実際に目にしたことがある。
地震発生から8ヶ月近く立った2011年11月初め、僕は父親と関田山脈の天水山、三方岳の辺りにハイキングに出かけた。地図で見てもらえば分かると思うが、この山は栄村の北端に位置しており、長野県北部地震の震源にかなり近い。震度6以上の揺れにほぼ確実に襲われたと思われる地域である。そのため、峠に至る林道の舗装は、あちこちで大きくひび割れていた。
この地震により、栄村では700棟近い住宅に被害が出た(全壊33、半壊169)。当時の栄村の人口が2000人ちょっとであることを考えると、かなりの被害であると言えるだろう。また、震災関連死で3人の方が亡くなった。
そして、山間部であるこの地域特有の被害であると言えるのが土砂災害と雪崩だろう。栄村や津南町は、ご存知の通り国内有数の豪雪地帯である。3月中旬とは言え、この地域にはまだ大量の雪が残っていた。気象庁のデータによると、津南町では2011年3月12日時点で227㎝の積雪があった(あくまで観測点における数値であり、これより多い場所も多々あるだろう)。この雪に強い揺れが加われば雪崩が起きてしまうのは自明だろう。被災地域では、豪雪に加えて地震と、二重の苦しみを味わうことになったのである。これらによる直接の死者が出なかったのは不幸中の幸いではあるが、住宅を含む多くの建造物が被害を受けることとなった。
この地震が忘れ去られてしまうことにおいて、個人的に一番問題だと思っているのが、「豪雪地帯で大きな地震が起きた際の被害とその対処方法」が社会に広まらなくなってしまうことだと思う。雪国在住の方はお分かりになると思うが、大雪の際はただでさえ移動が困難になる。そんな時にもし大地震が起きてしまったら…。考えるだけでも恐ろしい。長野県北部地震は、このような時にどう切り抜けるかのヒントを提示しているかもしれない。僕は専門家ではないので今は何もできないが、有識者の方々には頑張ってもらいたい。
最後に、誘発地震の恐ろしさ
規模の大きな地震は、時に他の地域での地震を誘発させることがある。2016年の熊本地震(M7.3)では、熊本県内だけでなく、大分県内での地震活動も誘発させた。しかし、M9という巨大地震になると、地震の誘発は隣県だけにとどまらず、非常に広い範囲に影響を及ぼす。東北地方太平洋沖地震の例でも、長野県北部地震のほか、秋田県沖の地震(2011年3月12日午前4時46分発生、M6.4、最大震度4)、静岡県東部の地震(2011年3月15日午後10時31分発生、M6.4、最大震度6強)などが誘発地震ではないかと考えられている。僕が現在住んでいる松本市でも、2011年6月30日にM5.4、最大震度5強の地震があったが、これも誘発地震の1つではないかと考えられている。
巨大地震があった場合、このように震源から遠く離れた場所でも、その後に大きな地震が起こる場合がある。例え震源から遠く離れていて、本震では特別大きな揺れを感じなかったとしても、しばらくは警戒を怠るべきではないのかもしれない。
過去に書いた地学関係の記事
・地学との出会いシリーズ
僕がどうして地学にはまったかを書いた記事。全4回予定だったけれど、書く気が無くなったので2回で止まっています。今後続きを書く可能性は限りなく低いです。正直第2回までで大体言いたいことは言ってると思う。
・新潟の冬~雪との闘い~
今年の冬は、新潟を含む北陸の各地で異常な大雪となりました。これは新潟県上越市を舞台に、そんな雪国での暮らしを書いた記事です。
・【本当に正しい】日本の10万人以上の都市 降雪量ランキング
アメリカの某メディアが世界各地の10万人以上の都市を対象に降雪量ランキングを作りました。すると日本の都市がトップ3入り!でもそのランキング、本当に正しいの…?
ということで、僕が日本のみを対象にして、ランキングを作り直しました。こっちが広まって欲しい…。
・「地震学」の本を読んだので感想を書いてみる
僕が地震学の本にどう立ち向かったのか(立ち向かえたのか…?)を書いた記事。
「地震学」の本を読んだので感想を書いてみる
せっかくの春休みなので、何か成し遂げようと思って挑戦したことがある。それは、共立出版より発売されている、「現代地球科学入門シリーズ6 地震学」(長谷川昭・佐藤春夫・西村太志、著)を読むことである。
元々地震に興味がある人間であり、読んでおくと今後の進路にも役に立つかもしれない、と思ったので、いつか読もうと思いながら時間だけが流れていった。その理由は、この本は数式のオンパレードだからだ。
僕は理系とはいえ数学は苦手である。そして、理系とはいえ数学の授業を熱心にやらない学科に所属しているので、大学数学の知識も乏しい。本書を開くと目に飛び込んでくるインテグラルの羅列を見て、「ああ、無理だな…」と思った。
だが、ここで立ち向かわないまま終わるのもなんか悔しい。そして僕に火を付けたのは、この本の内容は○北大学理学部の講義、特に第1部の「地震学概論」の部分は、東○大学の学部3年生を対象にした「地震学」の講義を元に書かれているらしいということである。色々と複雑な理由から某大学の学生には負けていられるか!という思いがあるので、早速読み解く準備に取りかかることにした。(ちなみに僕は某地方国立大学の学部3年生です)
読み解く準備とはすなわち数学の勉強である。かといって、先に書いたように僕は数学が苦手だし、それ故に真面目に勉強する時間も無い。何か大学数学を比較的やさしく解説してくれるサイトはあるものか、と思って見つけたのが「EMANの物理数学」というサイトだ。
このサイトは、広江克彦さん(通称:EMAN)という方が、物理学について色々と分かりやすくまとめている「EMANの物理学」というサイトの中にある。大学数学の基礎的な内容が、広範囲にわたって分かりやすく解説されているので非常にありがたい。数弱でも分かったような気分になれる。
かなり量は多いが、少なくとも「線形代数」「微積分のテクニック」「ベクトル解析」「複素関数論」「応用的な豆知識(クロネッカーのデルタ、デルタ関数)」「フーリエ解析」「微分方程式(ラプラス変換までとグリーン関数)」辺りは読んでおいた方が良い。
勿論、これを読んだだけでこの本の内容を全て理解できる訳では無い。ちゃんと理解するためにはそれ相応の訓練が必要である。ただしそんな時間は無い。でも何も知識がないと本当に何も分からないので、取りあえず数式の雰囲気を感じ取るだけなら、このサイトを読むだけでも大いに意味があると思う。僕も大学数学ってこんな感じなのか、ということを知る良い機会となった(決して身についたとは言えないが)。ちなみに、このサイトでも無理!という人はもう諦めた方が良い。
また、教科書ではすっ飛ばされている基礎の基礎を教えてくれる良い動画がある。それは、地球科学系YouTuberと名乗るゆうすけさんという方が作成した地震学の講義動画である。現在全6回分配信されている。これからが本番の内容!ってところでこの講義動画は終わっているので、早く続きを作って欲しい。ただ、基礎の基礎を知るには今の状態でも大いに役に立つだろう。
なお、この本のまえがきには、「ベクトル、テンソルやフーリエ変換などの数学的な基礎、ひずみと応力など弾性体力学の基礎、および波動に関する授業などを履修していることが望ましい。ただし、本文中の説明や巻末に付録を用意することにより、それらにとくに習熟していなくても基本的事項の理解ができるように配慮してある。」と書いてあるが、それは嘘である。この本だけで理解できる人は一部の超優秀な人だけ。だから、分からなくなったら上記に貼り付けたサイトを参考にして欲しい。
では、ここからこの本の内容について軽く触れていこう。読む際の参考として、各章の読解難易度を書いていく。ただし、これは地球科学的背景知識がそこそこある人にとっての難易度であり、そういうのにノータッチな人はなかなか厳しいかも知れない。正直、ここでの難易度は、各章の数式の量に依存している。
第1章 地震と地震学
・難易度:低
プロローグ的な内容であり、特に問題ないだろう。
第1部 地震学概論
第2章 地震計と地震観測
第3章 実体波の伝播
第4章 表面波の伝播
・難易度:高
ここからいきなり数式のオンパレードである。それでも地震学の基礎的な内容なので出来る限り理解できればいいのだが、自分を含め素人にはかなり厳しいので、取りあえず導き出された式を元に書かれたグラフから、この式がどのようなことを意味しているのか読み取るといいだろう(こんな偉そうなことを言える立場では全く無いのだけれど)。
あ~、某大学の学部3年生は授業でこんなことをやっているのか~(瀕死)。
第5章 地震波線と地球内部構造
第6章 地球内部の構造推定
第7章 地震の空間分布
第8章 地震の発生機構
・難易度:中
相変わらず数式は多いが、それでも第2~4章よりはマシ。第5章の走時曲線や、第8章の発震機構の表現方法&断層の力学は、知っておくと結構役に立つかも。ちなみに、ちょうど第5章を読み終わった頃に、2月13日の福島県沖地震(M7.3)が起きた。しばらくしてTwitterのタイムラインに走時曲線のグラフが流れてきたのを目にした僕は、「あっ、これ今日地震学の本で見たやつだ!」(進研ゼミ風に)となった。(そもそも何でタイムラインに走時曲線なんか流れてくるんですかね…)
第9章 地震動と地震の規模
第10章 地震の活動
・難易度:低
第1部の癒やし。単純な読み物。
第2部 地震波動
第11章 波動方程式のグリーン関数
第12章 グリーン関数の相反性と表現定理
第13章 点震源断層モデルとモーメントテンソル
第14章 せん断型変位食違い断層モデルに基づく地震波の生成
第15章 応力解放モデルに基づくクラック形成による静的変位
・難易度:高
これらの章は今の僕には無理!もう理解するのを諦めました。とにかくひたすら数式数式数式…。第1部はまだ必死に食らいつこうとしていたけれど、第2部はね…。いつか再挑戦したいものです。
第16章 地震断層パラメータの相似則
・難易度:中
難易度が非常に高い第2部の中でもまだマシかな…という章。地震モーメントと様々な指標との関係を示している。わりと気持ちよく比例関係になるよ~ということを言いたいのだろう。
第17章 自由表面への点荷重による静的弾性変形
第18章 水平線震源によるラブ波の励起
第19章 地球の自由振動
第20章 短周期コーダ波
第21章 ランダムノイズの相互相関関数解析に基づくグリーン関数の抽出
・難易度:高
これらも僕の頭ではまともに理解が出来ない内容。S波の後に来る波のことをコーダ波というのは今回初めて知った。第20章の文章部分は読んでみると良いと思う。
第3部 地震テクトニクス
第22章 プレートテクトニクスと世界の地震活動
第23章 地球の内部構造とダイナミクス
第24章 日本列島周辺の地殻・上部マントル構造と地震活動
第25章 沈込み帯の地震とその発生機構
第26章 地震の予知・予測
・難易度:低
第3部は数式がほとんど出てこず、本書の中では一番読みやすい部分である(ただし地球科学的背景知識がないと辛いかもしれない)。地震のことだけでなく、地球の内部構造についても知ることが出来る。
個人的に面白いなと思ったトピックは、ここ数十年に発生した大きめの内陸地震の震源の真下には、地震波の低速度領域があるということ。この低速度領域には流体があり、これが周囲の岩石を軟化させて地震を引き起こしているのではないか、という話らしい。つまり、低速度領域の上では地震が起きやすいかもしれない、ということだ。これらはまだ研究段階にあるが、研究が進めば低速度領域を探して地震が起きやすそうな場所を探る、ということもできるかもしれないので、今後の進展が期待される。詳しくは第25章を読んで欲しい。
東北沖のような、プレート境界地震についても非常に詳しく解説されているのでとても勉強になる。それと比べると、内陸地震についての記述はやや少なめかも。
というわけで簡単に感想を書いてきた。非常に難しい箇所もあるが、かなり勉強になる本でもあるので、地震学を勉強してみたい、という方はぜひ読んでみて欲しい。まあ、もう少し平易な内容の本を読んでからの方がいいと思うけれど(新書とかブルーバックスとか)。
地球科学の参考書の感想を書くという記事は、好評だったらシリーズ化するかも…?こちらの勉強にもなるし。非常にニッチな内容なのでアクセス数は期待できないけれど。
〈おまけ〉過去に書いた地学関係の記事
・地学との出会いシリーズ
僕がどうして地学にはまったかを書いた記事。全4回予定だったけれど、書く気が無くなったので2回で止まっています。今後続きを書く可能性は限りなく低いです。正直第2回までで大体言いたいことは言ってると思う。
・新潟の冬~雪との闘い~
今年の冬は、新潟を含む北陸の各地で異常な大雪となりました。これは新潟県上越市を舞台に、そんな雪国での暮らしを書いた記事です。
・【本当に正しい】日本の10万人以上の都市 降雪量ランキング
アメリカの某メディアが世界各地の10万人以上の都市を対象に降雪量ランキングを作りました。すると日本の都市がトップ3入り!でもそのランキング、本当に正しいの…?
ということで、僕が日本のみを対象にして、ランキングを作り直しました。こっちが広まって欲しい…。
ゲームレビュー63 悪魔城ドラキュラ アニバーサリーコレクション(第3回)~ドラキュラ伝説、ドラキュラ伝説Ⅱ~
第1回、第2回はこちら
今回は、ゲームボーイで発売された2作品を紹介する。
目次
ドラキュラ伝説
・発売日:1989年10月27日
・発売元:KONAMI
・自分のプレイ時期:2020年9月下旬~10月上旬
・難易度評価:4.5
(1、簡単 2、普通 3、やや難しい 4、難しい 5、非常に難しい)
ボリュームとしては小粒であるが、アニコレ収録作品の中で最も難しい作品だと思う。
ゲームボーイ初期の作品なので仕方ないところもあるのだが、どうもお粗末な点が多い。
まず移動速度。これは多分シリーズの中で最も遅いと思う。さらにジャンプ力も非常に低い。そのため、ギリギリジャンプを迫られるところがかなり登場する。慣れるまで落下死の連続だろう。
そして最もしんどいのが、敵の攻撃に当たるとムチの性能がダウンする事。アイテムを取って2段階性能を上げても、2回攻撃に当たれば初期状態に戻ってしまう。こうなると、体力が多い敵が出てきた時に詰むことになる(特に4面)。
このように、非常に制約が多いこのゲーム。この難しさは実際にやってみないと分からない。しかし、それに加えてステージもかなり嫌らしいため、鬼の難易度となる。では簡単に各ステージの紹介をしていこう。
まず1面。1面ともあって難易度はそこまで高くない。実際僕も初見時でゲームオーバーになることなくクリアすることが出来た。途中、ギリギリジャンプを練習できる地帯があるので、そこでこれを身に付けると良いだろう。
しかし2面からこのゲームの恐ろしさを存分に味わうこととなる…。ブナグチーという敵が出てくるのだが、コイツが吐き出す胞子はスピードがかなり速く、当たり判定もデカい。そのため、ムチを振ってもそれに当たらずダメージを食らうという事故が頻発する。その後のステージも含めて、いかにブナグチーを対処できるかが攻略のカギとなる。
後半は軽く迷路のようになっているが、自分が変な勘違いをして、余計な時間をかけてしまった。ボスも穴から出てきては色々な方向から飛びかかってくるので厄介。2面クリアに1時間半ほど費やした。
そして3面は即死トゲのオンパレード。下や横から次々にトゲが迫ってくる。しかもギリジャンを求められる箇所がかなりあり、もちろん失敗すると高確率で死ぬ。さらに道中には敵もおり、攻撃に当たってまごまごしてるとトゲに追いつかれる。明らかに初見殺しを意図しているかのような場所もあり、とにかく精神をすり減らしながらプレイするステージとなっている。ボスがそこまで強くないのが不幸中の幸い。アクションゲームがそれほど得意ではない僕だがここは意地を見せ、難関ステージを40分ちょっとでクリアした。
しかし、最終ステージの4面はただの地獄だった…。嫌らしい敵の配置や攻撃、即死ポイント、ステージの長さ…。進んでも進んでも終わりが見えてこない。耐えかねて、ここでこのゲーム初めてステージ途中でのセーブ&ロードを解禁。中間ポイントまである程度安定して行けるようになったらそこでセーブ、ボスの第一形態を倒せたらボス前でセーブをする事にしたが、それでもかなり時間を費やした…。
ラスボスも強い。特に第二形態は「こんなの無理だろ!」と思ったが、攻略サイトを参考にしたら普通に倒せた。
4面はステージ途中セーブという救済措置を利用しても、クリアに3時間かかったというバカみたいな面でした…。これを解禁していなかったら一体何時間かかっていたのだろうか…。取りあえず、鬼畜ゲーが1つ終わってホッとしている。
〈リンク〉
・メーカー公式サイト
https://www.konami.com/games/50th/ac/castlevania/jp/ja/
https://w.atwiki.jp/gcmatome/pages/2429.html
ドラキュラ伝説Ⅱ
・発売日:1991年7月12日
・発売元:KONAMI
・自分のプレイ時期:2020年10月上旬
・難易度評価:3.5
同じくゲームボーイで発売されたドラキュラ伝説の続編。前作の悪かった部分がかなり改善され、プレイがしやすくなった。
まず、敵の攻撃に当たると、せっかく上げたムチの攻撃力が下がる、というペナルティが基本的になくなった。例外として、ブナグチーの胞子に当たると攻撃力が下がってしまうが、そんなに頻繁に出てくるわけでもないので問題ないだろう。終盤はわりとウザいけれど。
移動速度も、決して速くはないが前作と比べると改善。聖水や十字架といったファミコン版などで定番のアイテムも追加され、攻撃もしやすくなった。
グラフィックや演出ももちろん向上。前作と比べてかなり趣向を凝らした仕掛けが増えた。
今作では、最初の4ステージは、ロックマンのように自由に選べるようになっている。
ステージの難易度も決して簡単ではないが、前作と比べると大幅に下がった。丁度良い難しさになったと言えるだろう。序盤は1時間で3ステージクリアすることが出来た。
ただし、終盤のボスはなかなかの難易度。「息子」は1周目ではそこまで苦戦しなかった記憶があるけれど、4ヶ月振りにプレイしてみたら大苦戦…。必死に攻撃パターンを理解して何とか倒せた。1周目はたぶんまぐれで倒したな…。
そしてラスボスは各攻撃時での安全地帯を見つけ出さないとあっという間に死ねる凶悪な強さなので苦戦必至。40分くらいかけてようやく倒した。何も攻略法を見ずに、自力で安全地帯を見つけて倒すことが出来たので、自分としては良くやったと思う。
ちなみに、1周目クリアまでにかけた時間は約3時間半。
前作よりも明らかにプレイしやすくなっているので、前作で投げた人も、ぜひ挑戦してみて欲しい。
〈リンク〉
・メーカー公式サイト
https://www.konami.com/games/50th/ac/castlevania/jp/ja/
https://w.atwiki.jp/gcmatome/pages/3729.html
今回は以上。次回はついに「悪魔城ドラキュラ アニバーサリーコレクション」の回は最終回である。お楽しみに。
2020年下半期に読んだ本10選
書こう書こうと思っていたら2月中旬になってしまった…。というわけで、今となっては昨年である、2020年下半期に読んだ本の中から、特に良かったものを10作品選んで紹介していこうと思う。
なお、昨年12月に「個人的BOOKランキング2020(1~10位)」という記事を書いている。ここでは、下半期に読んだ本も4つランクインしている。もちろん、その4冊は今回の記事にも登場する。文章の内容も同じになってしまうが、ご了承頂きたい。
つまり、BOOKランキングでは紹介しなかった6作品が、今回初紹介の作品となる。一体どのような作品が登場するのだろうか?なお、今回は順位を付けず、単純に読んだ順に紹介していく。
上半期に読んだ本についてはこちらから
「個人的BOOKランキング2020」はこちらから
では、早速紹介開始!
目次
「武田信玄」
・新田次郎、著 1969~1973年
・読んだ期間 2020年6月26日~7月10日
新田次郎の小説の中で一番長いと思われる本作についに挑戦。文春文庫版は全4巻であり、僕は大学の図書館で借りた「新田次郎全集」で読んだのだが、それでも全3冊にわたっていた。
現在長野県松本市に住んでいることもあって、前半、特に川中島の戦いまでは知っている地名や武将が多く登場し、楽しく読めた。ただ後半は舞台が南に移り、馴染みのない土地での話になったので、あまり興味が持てずほぼ惰性で読んだ。
ちなみに、僕はかつて上杉謙信の居城であった春日山城があり、そのために「大正義 上杉謙信」という雰囲気のある街、新潟県上越市で生まれ育ったので、実は圧倒的上杉派である。なお作者の新田氏は武田派のようで、第四次川中島の戦いは武田側の勝利!みたいな感じで結論づけているが、僕はどうもこれには納得がいかない。いくら新田氏の小説のファンと言えど(笑)。とにもかくにも、長野県の戦国時代の情勢がよく知れたので、読んで良かった。
「燃えつきた地図」
・安部公房、著 1967年
・読んだ期間:2020年7月13日~7月16日
最初の失踪届を見て、「砂の女」に続き「また失踪か(笑)」と思ってしまった。(「砂の女」「他人の顔」「燃えつきた地図」で失踪三部作と呼ばれているらしい)
しかし、この物語の主人公は興信所の職員として失踪した人を追う側。だが、次々と現れる怪しい人物に翻弄されるうちに…という話。
途中まで探偵小説的で安部公房作品の中でも分かりやすい方だが、最後の展開については読んだ人により解釈が分かれそうだ。ここの議論がこの小説で一番面白いところなのだけれど、ネタバレになるので詳しく紹介が出来ないのが残念だ。ぜひ、あなたなりの解釈をしてみて欲しい。
「向日葵の咲かない夏」
・道尾秀介、著 2005年
・読んだ期間 2020年8月10日~8月13日
・個人的BOOKランキング2020 第7位
ある夏の日、僕はS君が家で首を吊って死んでいるのを見つけた。しかし、しばらくすると彼の死体はその場から消えてしまっていた!さらに、死後S君は僕の前に現れ、「僕は殺された」という。僕は妹のミカ、そしてS君とともに事件の真相を暴くために動き出す・・・というストーリー。
とにかく読者の予想の斜め上を行き続ける小説。例えば、死後僕の前に現れたS君。普通なら霊体となって現れたと思うでしょ?しかしこの小説では・・・、まあ言ってしまうと読んだ時の衝撃を損ねてしまうので言わないですけどね。
読めば読むほど謎が深まり、もう何を信じればいいのか分からなくなっていく・・・。そして衝撃の結末。読んでいて決して気分が良い小説ではないが、その驚くべき仕掛けを楽しんでみて欲しい。
「栄光の岩壁」
・新田次郎、著 1973年
・読んだ期間 2020年8月27日~9月2日
・個人的BOOKランキング2020 第3位
遭難により足が不自由になった竹井岳彦。しかし彼は登山を諦めてはいなかった。過酷なトレーニングの末、穂高岳の岩壁に挑戦。そして彼の情熱は次第に海外に向けられることとなる・・・。
昨年読んだ「孤高の人」(個人的BOOKランキング2019、2位)と並んで非常に面白い小説だった。安定の新田次郎節というべきか、主人公の周りでやたら人が死ぬところ、主人公の邪魔をしてくるクズな人物が登場するところ、そして30過ぎまで恋愛話がないところなどは「孤高の人」と似通っている。新田次郎の山岳小説の主人公が、かなりの確率でそれなりの年まで童貞なのほんと好き(は?)。
ただし「孤高の人」と大きく違うのは主人公が結構人と関わっているところ、そして時代設定である(「孤高の人」は戦前、こちらは戦中~戦後)。
登山の恐怖と興奮に溢れた傑作。自分の信念を貫き通す強さには憧れてしまう。自分も頑張りたいものだ。
「僕って何」
・三田誠広、著 1977年
・読んだ期間:2020年9月9日~9月11日
ぼっち大学生である主人公がひょんなことから学生運動に巻き込まれていく話。最初はいかにも陰キャって感じだったのに、B派(学生運動の派閥の1つ)の部屋で出会った上級生の女子学生がいきなり自分の部屋にやってきて一晩を過ごし、その後同棲し出すという展開には「どういうエロゲー!?」と思った(あ、エロゲーはやったことないです)。くそー、うらやましいぞ!!
時代が時代なので今と違うところもあるけれど、団体に属していても、その活動にのめりこむことができず、ただいるだけになるという感覚は共感できるものがあった。なんだかんだ主人公はたくましくなっている気がするけどね。ちなみに芥川賞受賞作。
「緋色の囁き」
・綾辻行人、著 1988年
・読んだ期間 2020年9月29日~10月1日
・個人的BOOKランキング2020 第2位
叔母が運営する女学園に入ることとなった冴子。そんな中、クラスで「魔女」と呼ばれていたルームメイトが焼死体で発見された・・・。その後次々と起こる殺人事件。記憶が曖昧なため、まさか自分が・・・と恐れをなす冴子。しかも彼女は幼い頃の記憶を失っていた。一体事件の犯人とは誰なのか?そして冴子の過去とは?というストーリー。
昨年読んだ「Another」と並ぶくらい面白かった作品。読みやすさと面白さでページがどんどん進んだ。時々挿入される「囁き」も不気味であった。30年以上前の作品だけど全く古さを感じさせない。登場人物が女子ばかりなので、アニメ化したら華やかになるのでは?(やめろ)
ちなみに自分が購入した少し後に本作の新装改訂版の発売が発表された。なんだよ~と思ったが、今後旧版を新品で手に入れるのは困難になるかもしれないので、それはそれで良いのかもしれない。Amazonのリンクは自分が購入した旧版である。
「芽むしり仔撃ち」
・大江健三郎、著 1958年
・読んだ期間 2020年10月中旬
10~12月にかけて、大学図書館で「大江健三郎 小説」(1996年 新潮社刊)をかり、大江健三郎の作品を読みまくった。面白いとかはまったとかそういうわけでもないんだけど、何だかんだたくさん読んでしまった…。そんな作品の中のひとつ。
ノーベル文学賞作家、大江健三郎の長編処女作。戦時中、疫病が流行り、村人が逃げ出した村での少年たちのサバイバルを描いた作品。大江作品には難解なものも多いが、これは単純にサバイバルものとして抜群に面白いので、大江作品の入門編としてもオススメ。ただし、戦時中の大人たちの身勝手さを恐ろしいほど見せつけられる作品でもある。これを23歳の時に書いたって凄すぎるな…。
「日本の火山に登る」
・及川輝樹、山田久美・著 2020年
・読んだ期間 2020年10月29日~11月1日
・個人的BOOKランキング2020 第5位
火山学者が火山の面白いところを色々紹介している本書。大学で地質学を学んでいる僕であるが、著者の及川さんは自分の大学、そして所属している学科のOBでもある。これは買わないわけにはいかない!
最新の研究結果が多く盛り込まれており、新たな驚きがたくさんある。例えば、一万年以上沈黙を保っていたかのように思われていた御嶽山が、実はしょっちゅう噴火していたとか(千年~万年単位の、長い目で見たときの「しょっちゅう」であることをお忘れなく)。
今年実際に行ったところについても結構書かれていたのが嬉しい。大きな岩がゴロゴロしていて進むのに難儀した北八ヶ岳の三ツ岳は比較的新しい溶岩で出来ているとか、多くの登山客で賑わう乗鞍岳ではたった500年前に水蒸気噴火を起こしていたかもしれないとか・・・。枚挙にいとまがない。
地学や登山に興味のある方もない方も、是非本書を手に取って、日本の自然を味わって頂きたい。
「万延元年のフットボール」
・大江健三郎、著 1967年
・読んだ期間 2020年11月17日~20日頃
ノーベル文学賞を受賞するきっかけとなった作品のひとつ。主人公は妻、そして思想的な弟とその仲間とともに故郷の村へと移り住んだが、弟がフットボールチームの人々と何か企んでいる…、そしてついに反乱が…、という内容。
大江健三郎の文章や世界観に慣れてきたのか、思っていたよりも読みやすかった。特に、終盤の怒濤の流れには圧倒されるしかなかった。
村に入ってきたスーパーマーケットという新しい社会、これが当時(1960年代)の状況をよく表しているように思う。戦争の記憶が人々の中にまだありありと残っている時代だが、それでも社会は新しい方向に向かっているのである。
密度が濃くて決してうまく消化できたとは言えないが、これが名作だと言われる理由はなんとなく分かった。いつかまた挑戦してみたい。
「消えた市区町村名の謎」
・八幡和郎、著 2017年
・読んだ期間:2020年12月18日~12月24日
合併後にできた市町村名がどのようにして出来たか知ることができ、さらに筆者の市町村名に対する評価も書かれている。ページ数以上にビッシリと情報が詰め込まれており、非常にマニアックな内容。新書だから…とナメてた。あなたの住む市町村についてもきっと紹介されていることだろう。僕の故郷である新潟県上越市も、消えた市(高田市、直江津市)の例として何度か登場。ちなみに、今年は上越市誕生50周年ですよ。
今回の内容は以上である。
昨年読んだ本についてはもう少し書きたいことがあるので、やる気が起きれば書くかもしれない。お楽しみに。
ゲームレビュー62 悪魔城ドラキュラ アニバーサリーコレクション(第2回)~悪魔城伝説、悪魔城ドラキュラ(SFC版)~
第1回はこちら
今回は、シリーズの中でも特に名高い2作品を紹介する。
悪魔城伝説
・発売日:1989年12月22日
・発売元:KONAMI
・自分のプレイ時期:2020年9月中旬
・難易度評価:4(上ルート)
(1、簡単 2、普通 3、やや難しい 4、難しい 5、非常に難しい)
事前にプレイしていた「悪魔城ドラキュラ(FC版)」を除けば、収録作品で一番最初にプレイしたゲーム。そして、一番クリア出来るかどうか不安だったゲームでもある。
その理由はゲームセンターCX。有野は難易度が非常に高いステージ7で完全に足止めとなってしまい、結局クリア出来なかった(8時間くらい足止めされていたんじゃなかったっけ?)。それを観た僕は、このゲームが恐ろしいゲームだとすっかり脳内に刷り込まれてしまった。
しかし、よくよく調べてみると、有野が選んだ下ルート(このゲームは途中にルート分岐がある)は特に難易度が高いルートらしく、逆に選ばなかった上ルートはそこまででもないらしい。これはゲームの腕前が有野と同程度~わずかに上の僕にとって少しの希望…?
というわけで、いざ挑戦開始!!
まずはステージ1。1面なので簡単…なんだけど、油断すると普通に死ねる。まぁそれでも後のステージよりは全然マシ。20分で無事クリア。
1面が終わるとルート分岐。上ルートは2面を経由してグラントを仲間に入れるルート。下ルートは近道だが難易度が高いルート。というわけで上ルートを選択。
しかしこのステージ2が地獄だった…。まず序盤の階段。これは慣れてくるとどうってことのないところなんだけど、慣れないうちは階段を上ろうとしたら、踏み外して落ちてしまった、という事故が多発。その理由は、階段の入り口で上ボタンを押さずに横ボタンを押し続けると、段の上に乗れずそのまま下に落ちるシステムになっているからである。だから、階段を上り下りする時は、入り口で一度立ち止まってから上ボタンを押すとよい。
そして鬼門は2-3。回転する歯車を適切に渡りながら進むのだが、これも慣れるまでかなり難しい…。写真だと難しさが伝わらず悲しいのだが、その理由はジャンプにある。
このゲームはジャンプ中の制動がきかないので(グラントは除く)、マリオやロックマンのようにジャンプ中での微調整が出来ない。
つまり、一度ジャンプミスしたらもう立て直しが効かない。それを回転歯車の上でやらなければならないので、かなり慎重な操作が求められる。
さらに、左右からは上下に動きながらメデューサが飛んでくる。ジャンプ中にこれに当たってノックバックしそのまま死亡、ということも良くある。
正直、この2面は操作に慣れてしまえば比較的楽で、「確かに2面の難易度だなぁ…」と思うようになれるのだが、操作に慣れない序盤はこのゲームのシステムに徹底的に殺される。
いつもゲームの操作に慣れるのが遅い僕は、なんと1時間40分も特定の場所から先に進めなかった。耐えかねて、余程のことがない限り使わないことにしておこうと思っていた「どこでもセーブ機能」を2面から解禁した。そうしたら難所も越えることが出来るようになるんだよね…。最大の敵は動揺。
2面ボスを倒すとグラントが仲間になる。このグラントはとにかく万能。標準装備が短剣なので遠距離攻撃が可能となり、ジャンプ力が高くジャンプ中の制動も可能。さらに壁にくっついたり狭い通路をくぐり抜けたり出来るので、ステージによっては大幅なショートカットが可能になる。初心者にはありがたい仲間だ。
ステージ3は面倒な鳥が序盤から大量に出てくるが、コイツは先手必勝。そこまで苦戦せずクリア。道中魔法攻撃の使えるサイファが仲間になろうとするが、仲間にしてしまうとグラントが使えなくなるのでここは断る。
また、3面ではルート分岐もある。下ルートは有野が苦しんだ難易度の高いルートなので、ここは上へ。
ステージ4は中ボスもいる長いステージ。前半はそれほどでもないものの、終盤の鳥がウザい…。ボスに辿り着いても体力が足りなくなる。その長さに苦しみながら何とかクリア。
ステージ5は序盤の上下に動きながら飛んでくる敵にとにかく苦しんだ…。コイツも先手必勝。出現パターンを覚えながら適切に対処するしかない。
中盤の上方向への強制スクロールは、グラントの機動力の見せ所。
ボスのフランケンはこれまで通りガチャ押しでクリア。
ステージ6~7はそれまでをクリアしてきた腕前があれば、比較的何とかなる難易度。下ルートのステージ7は有野が断念した鬼難易度だが、上ルートはそれほどでもなかった。一安心。
しかしステージ8のボス、死神が、このゲーム最大の難関…。コイツはラスボスよりも強い。オノ大量放出の魔の手にかかるとあっという間に死ぬ。何とか攻撃でオノをうまく消せるような動き方を自分で見付けるしかない。このステージは道中の難易度はそれほどでもないが、面倒であるのには変わりないので、ボス前でセーブをして挑むことにした(なお、どこでもセーブ機能は、3~7面では使わなかった。偉い)。
何度も死ぬうちに良い動き方が分かってきた。しかし、何とか第一形態を倒しても、何と第二形態もあるのだ!ふざけんなーっ!と言いたい。第二形態の方が攻撃はかわしやすいが、面倒なのには変わりがない。1時間以上費やしてようやく死神を撃破!
しかしその後の9面も超難関…。上から投下された後に跳ねる敵、骨柱&フライングアーマー、強制上スクロール等々、それまでの難所が集まって出来ているようなステージ。挑戦開始から1時間後にボスにたどり着いたものの、嫌気が差したのでステージ中盤過ぎでのセーブ&ロードを解禁した。
9面をクリアしたらついにラストステージ!ラスボス、ドラキュラとの戦いである。何と、このラスボスは第三形態まであるのだ!
しかし、第一形態が一番強いという謎仕様(いやありがたいんだけど)。第二、第三形態は比較的攻撃が単調なので気を付けながら攻撃すれば大丈夫…なのだが、やっぱりここでの最大の敵はプレッシャー。あと1発で第三形態を倒せたのに残念ながら攻撃に当たって死んだ、ということが2回くらいあったぞ!それでも、1時間弱かけて何とか無事クリアした。最終面はどこでもセーブ機能も使わなかった。合計10時間ほど費やしてようやく、この難関ゲームにて有終の美を飾れたのである!
それにしても、1時間弱でラスボスを倒せて良かったなぁ…。ロックマンシリーズではラスボスを倒すのに2~3時間かかるみたいなことが続いていたので。
このゲーム、道中の難易度は物凄いけれど、各ステージのボスの難易度はロックマンシリーズよりも低い気がする。ただし死神は除く。死神はな。
まだ他のキャラでの攻略や下ルートのことについて書いてないが、これは後に改めて「悪魔城伝説【完全版】」という回を作って、その時に書こうと思う。乞うご期待。
〈リンク〉
・メーカー公式サイト
https://www.konami.com/games/50th/ac/castlevania/jp/ja/
https://w.atwiki.jp/gcmatome/pages/3379.html
悪魔城ドラキュラ(SFC版)
・発売日:1991年10月31日
・発売元:KONAMI
・自分のプレイ時期:2020年9月下旬
・難易度評価:3.5
スーパーファミコンで新たに出されたドラキュラ。ちなみに同タイトルのファミコン版とはほぼ別物である。
ハードがスーパーファミコンになったことにより、演出はさらに豪華になった。画面の回転、拡大縮小機能がふんだんに使われている。さらに、主人公のムチが8方向に撃てるようになったため、嫌な角度から飛んできた敵の処理がしやすくなった。あと基本の残機が5つに増えた、回復アイテムが出やすくなったなど、システム面では前作「悪魔城伝説」よりも楽になったと言える。
事実、3面までは比較的ゆるい難易度で、2面から牙を剥いた悪魔城伝説をプレイした者としては「お?ひょっとして今作は楽なのかな?」と思ってしまう。
しかし、4面から難易度は急上昇!特に4-1に出てくる、飛び移ると回転して主人公を落としてくる床、これの攻略に最初は手間取ることだろう。「乗った!さてジャンプだ!」と思っていると必ず落ちる。気持ち早めでジャンプボタンを押すのがポイント。とにかく、何度も死んでタイミングを覚えるしかない。
そしてこの4面はかなり長い。4-2の、一定時間経つと回転する部屋の対処法も、最初はよく分からないだろう。ここは再び部屋が回転するまでひたすらその場でメデューサを倒す or 避け続けるしかない。
さらにこの4面は中ボスまでいる。クリアするのに1時間半以上かかった…。この面、演出は凄いんだけどね…。
5面はあっという間に終わるので問題ない。しかし、その次の6面は、かなり敵の攻撃が激しい。特に6-2の光る球みたいなものは、最初倒せないと勘違いして「こんなの無理だろ!」と思ったけれど、しばらくして倒せると分かり先に進めるようになった。1時間かけてクリア。
7面はリフトの乗り継ぎに気を付けるくらい。30分ほどでクリア。
しかしその次の8面が、即死トゲ&落下死のオンパレード…。最近この記事を書くにあたって久々にプレイしてみたけれど、「よくこんなステージを途中セーブ無しでクリア出来たな!」と思った。とにかく地道に攻略法を身につけながら少しずつ進んでいくしかない。初プレイ時は1時間ほどでクリアしたらしい。過去の自分、結構凄いな…。
9面は黄金が輝く華やかな(というか華やかすぎる?)ステージ。ボスと5回ほど戦って50分ほどでクリア。
次は10面…ではなく、A面である。「悪魔城伝説」で苦しんだ歯車地帯再び……。さらに、ムチを引っかけてぶら下がりながら進んで行くところでは、途中で敵が攻撃してきて落としてくるので、途中で一旦横にそれて敵を倒してから、また進まなければならない。
ボスのミイラ男もなかなか強く5回ほど戦った。だけど攻略法が分かってしまえばどうってことない。画面の右側の方に立ってしまうと敵の攻撃により落とされてしまうので、画像のように左端に立って攻撃を繰り返すと良い。安全地帯というわけでもないが、少なくとも落とされて死ぬことはなくなる。
ステージ全体で50分ほど費やしA面をクリア。
そしてついに最終面!B面である。最後に相応しく、ここも即死ギミックのオンパレード!
最初の難関は、下から回転ノコギリが迫ってくる場所。それから逃げなければならないだけでなく、なんとここのゾーンの階段は乗るとすぐ崩れ落ちる!もちろんノコギリに当たったり下に落ちたりしたら即死亡。階段に飛び移るとき、上ボタンを押しながらじゃないとうまく乗り移れないことがあるので注意。
そしてその先に待っているのがこのゲーム最大の難関……。たくさんのリフトが右下から左上、または左下から右上へとかなりのスピードで動いているのだが、配置されている即死トゲに当たらないようにこれを渡り歩かないといけない。特にこのゾーンの最後は、リフトに乗るとあっという間に右上のトゲに連れて行かれる。「ここを突破するなんて、こんなの運だろ!」と思ったが、取りあえずここはまず落ち着くのだ。むやみにジャンプをするのではなく、歩いて左横を流れるリフトに乗り移れば、このゾーン突破の可能性が高まる。
難所を抜けるとベリガンとの戦いが始まる。コイツもコツをつかむまでは苦戦する相手。あっという間にゲームオーバー。またステージの最初からか……と思いきや、コンティニューするとベリガン戦直前からスタート!これはありがたい!
ベリガンを倒すと今度はギャイボン戦。やっぱり最初はゲームオーバーになり、またベリガン戦からやり直しか……と思いきや、コンティニューするとギャイボン戦直前からスタート!突然システムが優しくなるの何なん?嬉しいんだけど(笑)
ギャイボンを倒すとついにあの忌まわしき死神戦……。初代悪魔城ドラキュラや悪魔城伝説ほどではないが、やっぱり強い。何度も戦い無事クリア。
ベリガン、ギャイボン戦に各10~15分、死神戦に20分ちょっと費やしボス3連戦を突破!
そしてついにラスボスのドラキュラ戦!多彩な攻撃に苦しむも、一つ一つ攻撃を対処していく。戦うこと20分、ついに第一形態を撃破!でもどうせ第二形態もあるんだろうなーと思ったら、あれ?無いの?
何がともあれ、SFC版「悪魔城ドラキュラ」をクリア!攻略時間は9時間40分。ステージ途中でのセーブは使わずにクリアすることができました!
〈リンク〉
・メーカー公式サイト
https://www.konami.com/games/50th/ac/castlevania/jp/ja/
https://w.atwiki.jp/gcmatome/pages/3516.html
今回の内容は以上!次回はゲームボーイで発売された2作品です。アニコレ収録作品では最も難しい作品が立ちはだかる……?お楽しみに。
【~2020年度版】日本の10万人以上の都市 降雪量ランキング
※注意!
2021年の5月に気象庁の平年値のデータが更新されました。そのため、ここで登場している数値は現在の物と異なっています。それに応じて、順位も結構変動しています(登場している市自体はあまり変わりないかもしれませんが)。
新しいデータに基づいたものも作成するかもしれませんが、それまでは、この記事の内容はあくまでも旧データであるということを、頭に入れておいてください。
目次
はじめに
アメリカの「AccuWeather」というメディアが、世界の人口10万人以上の都市の年間降雪量を用いてランキングを作成したところ、なんと日本の都市がトップ10以内に4つもランクインし、さらに上位3位までを独占したそうです。これは驚くべきことですね!
では、その内訳はというと、「7位 秋田市、3位 富山市、2位 札幌市、1位 青森市」とのこと。
…………えっ……………………?
平均的に見れば冬には1m雪が積もり、かつては市街地で3m以上雪が積もったことのある、人口約19万人の我が地元、新潟県上越市が入ってない……だと……?新潟県長岡市(人口約26万人)も富山市よりは確実に雪が積もるのに、入ってない………?
なんだこのガバガバなランキングは!これじゃあ青森の一人勝ちじゃないか!しかも、この適当なランキングが、あらゆるサイトやテレビ番組で引用されている!青森が世界一雪の多い都市だなんてぬかしている!これは新潟県出身者として納得がいかない………!!!
というわけで、真実は一体どうなのか、自分の目でつきとめることにしました。そして、この適当なランキングに代わって、僕が「日本の10万人以上の都市 降雪量ランキング 訂正版」を作成しました。ろくに調べもしないメディアの情報に騙されてはいけません!これから示すものが、真実に限りなく近いランキングだと思います。
※注意
「本当に正しい」と書きましたが、これは「気象庁の観測データが見つかった都市の中では正しい」という意味です。何が言いたいのかというと、本当ならトップ10入りする可能性が大いにある北海道江別市の観測データが、気象庁のサイトには示されていませんでした。そのため、本当に申し訳ないのですが、江別市抜きのランキングになっています。このことを最初に申し上げておきます。
日本の10万人以上の都市 降雪量ランキング
さて、いよいよランキングの発表の時間です。それではまず11位から。えっ、なぜキリの良い10位からではなく11位……?
それはですね、「AccuWeather」のランキングで3位になっていた富山市が11位だったからです!これだけで「AccuWeather」のランキングが適当だと分かりますね!富山市のデータはこちら!
11位 富山市
・人口:約41.4万人
・平均年間降雪量:383㎝
・平均年間最深積雪:62㎝
今年、35年振りに積雪が1mを超えた富山市。県庁所在地の中ではかなり雪が積もる街ですが、それでも本ランキングでは11位。一体この先どのような強者が待ち構えているのでしょうか?
では、次からトップ10です。
10位 山形市
・人口:約24.8万人
・平均年間降雪量:426㎝
・平均年間最深積雪:50㎝
県庁所在地の中では実は富山市よりも多かった山形市。比較的内陸にあるので納得ですね。ただ、積もる雪の量では富山市の方が多いみたい。
9位 北見市
・人口:約11.5万人
・年間平均降雪量:433㎝
・年間平均最深積雪:82㎝
極寒の地で有名な北海道北見市。降る雪の量もそれなりのものですね。まさに試される大地。
8位 会津若松市
・人口:約11.8万人
・年間平均降雪量:478㎝
・年間平均最深積雪:59㎝
太平洋側の県の都市では唯一ランクインした福島県会津若松市。ただし、太平洋側といってもここは県の西側。新潟県との県境からもそこまで離れていないところです。
7位 長岡市
・人口:約26.4万人
・年間平均降雪量:595㎝
・年間平均最深積雪:95㎝(4位)
新潟県第二の都市、長岡市がここでランクイン。降雪量こそ7位ですが、最深積雪ではなんと4位。雪国の名に恥じない街です。
6位 札幌市
・人口:約196.2万人
・年間平均降雪量:597㎝
・年間平均最深積雪:100㎝(3位)
「AccuWeather」のランキングで2位だった札幌市がここでランクイン。本ランキングに登場する都市の中では人口が飛び抜けてますね(笑)。こんな大都市でも人々が大雪とうまく付き合いながら生活しているのです。拍手!!
では、ここからトップ5の発表です。「AccuWeather」のランキングに示されていなかったダークホースが4つもいるのです。一体どんな都市が出てくるのか?そして衝撃の1位は………?
5位 上越市
・人口:約18.8万人
・年間平均降雪量:635㎝
・年間平均最深積雪:122㎝(1位)
我が故郷、新潟県上越市がここでランクイン。残念ながら、降雪量では青森市に負けてしまいましたが、最深積雪は本ランキングに登場する都市の中では1位!雪の高田のプライドは守られた。
今年の冬は35年振りの超大雪となり、市街地の高田でも積雪249㎝を観測。いくら雪に慣れた都市でも、これだけ積もれば街は大混乱に陥ります。コロナがなければもっと報道されてもいいような深刻な事態でした。
なお、上越市での冬の生活については以前書いたので、ぜひご一読を。
4位 青森市
・人口:約27.3万人
・年間平均降雪量:669㎝
・年間平均最深積雪:111㎝(2位)
「世界一雪が積もる都市」といわれた青森市が、何と4位となってしまいました!4位なのに世界一の顔をしているなんて……。うまい汁を吸っているなと思います。それでも、豪雪地帯であることには変わりありません。冬はかなり過酷なものと思われます。
3位 小樽市
・人口:約11.3万人
・年間平均降雪量:676㎝
・年間平均最深積雪:122㎝(1位)
観光地で有名な北海道小樽市が、なんと3位にランクイン!僕も10年ほど前、夏の暑いときに行ったことがあります。
最深積雪も上越市と同率1位!これは驚きました。北海道って、自分が思っているよりも雪の降る土地なんだな……と思わされました。これを知っただけでも、今回調べた甲斐がありました。
北海道が雪が多いのは当たり前じゃん!と思われるかもしれないですが、新潟県に住んでいると、「雪の量なら新潟よりはマシでは?」と思ってしまうのですよ。
2位 旭川市
・人口:約33.2万人
・年間平均降雪量:743㎝
・最深積雪:94㎝(5位)
旭川もこんなに雪が降るんですね………。これを知ったことが、今回この記事を書くキッカケの一つでもあります。青森市よりも人口が多いのに無視される、まさに不遇の都市です。
1位 弘前市
・人口:約16.9万人
・年間平均降雪量:748㎝
・最深積雪:83㎝
というわけで、世界で一番雪が降る人口10万人以上の都市は、青森県弘前市に決定致しました!おめでとうございます!!人口では県庁所在地の青森市に勝てなくても、雪の量では勝てるのです!もっと誇っていいかと思います。
日本で一番雪の多い都道府県はどこか?
最後に見出しのようなテーマで少しだけ。日本で一番雪の多い都道府県はどこかという話になると、「AccuWeather」のランキングの存在、また観測点「酸ヶ湯」の存在から、よく青森県だと言われてきました。これに新潟県出身の僕はどうしても納得がいかなかった。「観測点がないだけで、新潟にも酸ヶ湯より雪が積もる場所はいくらでもある!そもそも酸ヶ湯の観測点なんか標高の高い山の中にあるのだからチートだろ!」と。
しかし、今回調べて気付いたのは、年間降雪量では北海道、青森県>新潟県になるということ。考えてみれば北海道や青森県の方が北にあって気温が低く、つまり雪の降る期間が長いので当たり前の話なのです。
ただし、最深積雪では、同じような降雪量の場所でも新潟県>北海道、青森県となったりします。新潟県のドカ雪は凄いのです。ある意味、新潟県は短期集中型、って感じですね。
このように、雪の降り方の性質が異なるので、どこの都道府県が一番雪が多いか、というのは一概には決められません。ただし、それでも青森県の一人勝ち状態には納得がいかない、ということを付け加えておきます。
今回の内容は以上です。読んで下さった方はありがとうございました。